Cloudflare メールルーティングが便利な話
独自ドメインを取得しているなら、Cloudflare Email Routing(メールルーティング)を設定しておくと地味に捗るシーンが結構あります。特に効いているのが、SNSの捨てアドレス発行と、フリーメール扱いされたくない場面での代用です。
前提
- 独自ドメインを取得済み
- ドメインのネームサーバーをCloudflareに向けられる(=Cloudflareでドメインを管理している状態)
- Cloudflareアカウント(無料)
この記事はここがクリアされている前提で進めます。まだ独自ドメインを取得していない場合は、以前書いた記事で取得からCloudflareでの設定までざっくり触れているので参考にしてください。
Cloudflare Email Routingとは
ざっくり言うと「独自ドメインのメールアドレス宛に届いたメールを、普段使っているGmailなどの受信箱に転送してくれるサービス」です。
- カスタムアドレスの作成と転送は無料
- メール本文はCloudflare側に保存されない(プライバシー面でも安心)
- 1つのアドレスだけでなく、ドメイン宛の全メールを受け取る「キャッチオール」設定も可能
- 迷惑メール・フィッシングの検知機能あり
つまり hoge@自分のドメイン のようなアドレスを好きなだけ作って、実質使い分けられるということです。
便利な使いどころ
1. X(旧Twitter)のアカウント作成にGoogleアカウントの新規作成が要らない
Xでアカウントを複数持ちたいとき、サインアップにはメールアドレスが必要です。ここで新しくGmailアカウントを作ろうとすると、
- 電話番号認証を求められる
- Googleアカウントの管理がどんどん増えていく
- パスワード管理の手間も増える
といった面倒がついてきます。
そこでCloudflare Email Routingでキャッチオールを設定しておけば、x-2026@自分のドメイン のようにサービスごとに使い捨てのアドレスを無限に発行でき、すべて普段使いの受信箱に転送されます。Googleアカウントを増やす必要が一切なくなるのが地味に楽です。
副次的に、アドレスをサービスごとに変えておくと「このアドレス宛の不審なメール=そのサービス経由で漏れた」とすぐ特定できます。
2. 「会社のメールアドレスを教えてください」と言われたときに便利
SaaSの無料トライアル登録やウェビナー申し込みなどで、「法人向けメールアドレスをご入力ください」と求められ、GmailやYahooなどのフリーメールドメインだと弾かれることがあります。かといって、
- 転職活動中で今の会社のアドレスは使いたくない
- 個人でOSS活動や副業をしていて、会社とは無関係な文脈で登録したい
- そもそも「会社」に所属していないフリーランス・個人開発者
というケースは珍しくありません。
独自ドメインのメールアドレスであれば、フリーメール扱いされずに「それっぽい」アドレスとして通ることが多く、会社のメールアドレスを使わずに済みます。転送先は結局いつもの受信箱なので、管理の手間も増えません。
設定方法(5分程度)
- Cloudflareダッシュボードで対象のドメインを選択
- 左メニューの「Email」→「Email Routing」を開く
- 「宛先アドレス」に普段使っているメール(例:Gmail)を登録し、届いた確認メールから認証
- 用途に応じて以下のどちらかを設定
- 個別のカスタムアドレスを都度作成(例:
x-2026@ドメイン) - 「キャッチオール」を有効化してドメイン宛の全メールを1つの宛先に転送
- 個別のカスタムアドレスを都度作成(例:
- 「Email Routingを有効にする」を選択すると、必要なMX・TXTレコードが自動的にDNSへ追加される
- テストメールを送って受信確認(初回は迷惑メールフォルダに入ることがあるのでチェック)
DNSレコードの追加はCloudflareがほぼ自動でやってくれるので、手動で書き換える箇所はほとんどありません。
注意点
- 送信はできません。あくまで「受信したメールを転送する」専用サービスなので、そのアドレスから返信・新規送信したい場合はGmailの「エイリアスとして送信」機能や、Cloudflare WorkersのSend Email Bindingなど別途の仕組みが必要です。受信専用の使い捨てアドレスとして使うだけなら気にしなくてOKです。
- ネームサーバーをCloudflareに向ける必要があるため、他のDNSサービスで運用中の場合は移行作業が発生します。
- メールは一時中継されるだけで保存されないため、転送先の受信箱がいっぱいだと届いたメールを後から復旧できません。
規約面は大丈夫?
「独自ドメインのメールで登録するのって規約的に問題ないの?」と気になる人向けに軽く触れておきます(法律の専門家ではないので、あくまで一般的な整理です)。
- Xのアカウント作成について: X公式ポリシー上、複数アカウントの作成自体は身元・目的・用途が異なれば許可されています。規約が問題にしているのは「同一内容の投稿」「複数アカウントでの相互いいね等のエンゲージメント操作」「凍結回避」といった”使い方”であり、登録に使うメールアドレスの取得元は特に問題になりません。
- 「会社のメールアドレス」代わりに使う件について: 独自ドメイン自体は自分が正当に所有しているものなので、使うこと自体に法的な問題はありません。ただし一部のサービスは規約上「実在する組織に所属していること」を明示的に求めている場合があり、その場合は個別の規約に従う必要があります。多くの「ビジネスメール必須」フォームは単にフリーメールドメインを弾きたいだけなので実務上は問題にならないケースが大半ですが、「法人限定の特典」などを虚偽の所属で得るような使い方は避けた方が無難です。
いずれのケースも、Cloudflare側の規約には抵触しません。気になる場合は登録先サービスの利用規約を個別に確認するのが確実です。
まとめ
Cloudflare Email Routingは「独自ドメイン宛のメールを普段の受信箱に転送するだけ」のシンプルな機能ですが、
- サービスごとの使い捨てアドレスを無限に作れる(=Googleアカウントを増やさなくていい)
- 「会社のメールアドレス」を求められる場面を独自ドメインで乗り切れる
という2点だけでも、独自ドメインを持っているなら設定しておく価値は十分にあります。設定自体は無料で5分もかかりません。